館長の部屋

はじめての棟方志功展

 

北陸新幹線開業に先立ち、開会。

福光疎開で、棟方志功に何が起きたか。
その精神世界に正面から、踏み込んだ、はじめての企画展。

オープニング。田中市長挨拶から、テープカットへ。

 

待ちかねたように、どっと。

 

高岡善興寺蔵の「御二河白道図」は、目玉のひとつ。
本堂の暗い、高いところに掲出。
それが、眼前で見られる。つい最近、描かれたような鮮やかさ。

もう一つのお宝。白道舎襖絵と書。

棟方志功を真宗の他力本願の、宗旨に開眼させたのは、
南砺の吉田龍象さんの白道舎道場でのお座である。


講話に感動した棟方さんは、一気に襖絵と書を描きあげている。

 

記念講演は、大谷大学元学長  木村宣彰先生。

棟方志功とからめて、巷間使われている、
土徳ということばは、ふさわしくない、とも。

あまりの人気で、200人近くが聴講。
駐車場は満車。椅子が足りなくて、
事務所の椅子まで総動員する騒ぎ。
――
うれしい悲鳴。

 

 

 

 

瞞着(だまし)川(がわ)は見ていた

 遠く医王山をのぞむ蛍の名所「瞞着川」の夕景。

 

 昭和20年4月。東京は連日の大空襲が続いた。東京から

この医王山のふもとの石黒村法林寺(現南砺市)に 板画家の

棟方志功一家6人が、命からがら疎開してきた。

地獄のような日々から 一転して、このおだやかな福光の風

光は桃源郷のように映ったことだろう。大切な版木や民芸品

を灰にしてしまい、絶望のなかで棟方志功は、よし、この地

で新しく生きて行こうと決心した。

 青森生まれの棟方志功は、極度の近眼で水辺の小さな花や

生きものたちを愛した。山麓の仮住まいの家から、毎日のよ

うに手紙投函のため、福光の町はずれのポストまで歩いて通

う。30分は要した。

 田園地帯の途中に、豆黒川ともナマズ川とも地元の人たち

が呼ぶ小川がある。その土橋で一服するのが志功の日課みた

いなものだった。この川にはもともとカッパに騙されるとい

う伝説があり、志功は面白がって「瞞着川」と名付け、物語 

にして39柵の板画「瞞着川板画巻」を彫った。

 

 

 

名作「瞞着川板画巻」から25年後、病床にあった志功は

再びこの中から13枚を選び、刷り直して着彩し、安川電機

のカレンダーとした。

そしてこれが、生涯最後の作品となった。その作品解説の

文中には、自分の運命的な宇宙観を与えてくれた、この地に

感謝するという言葉を残している。

 

※まちなかギャラリー、萱笑のパネル原稿から

 

 

美術館の増築工事について

福光美術館では、10年來の念願でありました常設展示場と収蔵庫の増築に着手しました。議会などの諸手続きを済ませて、現在は基礎地盤の造成に入っています。楓の植樹がいい枝ぶりに育っていたのですが、移植が難しい樹種で残念ながら伐採しました。

取り付け道路と給排水工事など本格作業の前準備が結構大変です。隣の小山も伐採のうえ一部削っていますが、意外と岩盤が手強く難義です。

現在の2階の常設展示場は、いまも遠方からの団体さんで賑わっていますが、新しい常設展示場は1階隣接で、2倍の広さに生まれ変わります。北陸新幹線開業にはすぐには間に合いませんが(室内の湿気を抜くため)、棟方志功と石崎光瑤の2つの部屋が出来ます。

全国に、公立美術館は500館あまり。福光美術館の規模は中くらいに相当しますが、世界や全国に通用するパーマネント・コレクションと呼ばれる、常設展が2つもあるというのは極めて稀なことです。南砺市のゲートとしての貢献も期待されています。

3月の北陸新幹線開業に際しては、企画展示場いっぱいを使って、「大棟方志功展」を計画しています。福光で、世界のムナカタのこころに、何が起きたのかというテーマに挑戦します。お楽しみに。

なんと版画年賀状公募展開幕

第12回なんと版画 年賀状公募展のオープニング

 

どうだ!この弩迫力。 一般の部の大賞、富山市の渡辺 司さん。

道の駅福光さんの協力で巨大紙風船原画に。地元地区のみなさんのボランテイアで、でっかいプレゼント。

渡辺さんは、版画歴50年。数十年前に大谷美術学園の「版画年賀状を楽しむ会」で、お会いしていたのがわかった。再会でびっくり。

受賞した子どもさんの図録掲載を家族で確認中。ちびっこムナカタさんの誕生になるか。

授賞式、150人でロビーがいっぱいになる。年々増える。

表彰状を読み上げていて、最近の小さな子どもさんの名前、ややこしく、読むのがたいへん。

おしゃれで、かわいいが。副賞がずっしりと、たくさん。

審査員長の、谷内正遠(まさと)さんの解説がわかりやすく、具体的で人気が高かった。北陸銀行のPRの版画で有名なプロで、お母さんが光徳寺出身。

昨年版画大賞の能澤義光さんの作品。射水市在住で、道の駅福光のイベント、巨大紙風船の図柄にも登場。 それを、年賀状に。

大賞を受けた方は、翌年から招待出品に昇格します。なんだか、昨年の喜びがほのぼのと伝わってきます。

入場無料、2月16日まで。

 

 

 

≪ことば≫の人 棟方志功

富山県立 高志の国文学館で、「世界のムナカタ」を育んだ文学と民藝展が開催中です。2月17日(月)まで。

棟方志功の名前だけ知っている人から、研究者や専門家まで、いま注目されています。

富山に戦中戦後、7年近く疎開生活を送っていた棟方一家に、何があったのか。こんな仕事をしていたのか。

なかでも山本コレクションのみごとさは、圧倒的です。

ロビーでは、福光の風土に暮らした棟方一家の絵本「ちよゑちゃんとパパとだまし川」の原画も展示されています。

また、立山の文学「善知鳥」が棟方志功の人生の転換点であったことも特別に紹介されています。

南砺市立福光美術館の共催で、作品の貸し出しだけでなく、企画や図録、作品解説と講演など、全面的に協力しています。

2012年に福光美術館企画展「ことばの作家棟方志功展」をもとに、大幅にバージョンアップされました。やっぱり県立はすごい。

 

静かに染み透るような、論文が話題に。それは図録に掲載された、渡邉一美さん(福光美術館学芸員)の「≪ことば≫の人 棟方志功」です。

幼少のときから眼が悪いことを逆手にとって、なぜ世界のムナカタになりえたのか。

「棟方志功は≪ことば≫という有音の世界と、≪造形≫という無音の世界との境を意識することなく、おのれの魂を自由自在に両方の芸術世界に遊ばせることのできた天才であった。」

ぜひ、生誕110年を迎えた棟方の秘密に触れる、新しい説にも触れてほしい。

なお、私のほうも、これまでタブーだった「ドイツ表現派と棟方」にも言及した小論を掲載いただいた。

1月12日(日)午後2時から、文学館で企画展講演をします。