川原さんの回顧展を機会に、ぜひと思い立って、ふくみつ光房さんにお願いして遺稿集の発刊が実現しました。
川原竜三郎さんが7年にわたって書き溜められたコラム「楽しく、美術館に、行こう」発行は、ふくみつ光房(株)B5判とコンパクトで 読みやすい。166ページにぎっしり。定価1,000円+税です。福光美術館のミュージアムショップで扱っています。地元書店でも配本予定です。
南砺市医王山山麓の糸谷から中学卒業と同時に15歳の川原少年が、木彫の修業に入る。隣村に生まれた私もその年にデザイン修業に。そんな時代でした。
川原さんは、上京して、洗礼を受け(洗礼名:アゴスティーノ)難関のイタリア・ローマの国立美術大学を卒業して世界に活躍。東京の大学数は200とも。ローマでは大学は数校だけ。 日本はよほど教育水準が高いのだと驚かれるそうだ。
ジャコモ・マンズーなどの世界の巨匠や、ローマ法王、ケネディ夫人、越地路雪、遠藤周作、小島功、塩野七美賛などとの出会いがあり、砺波市の林清納さんなど、富山ゆかりの作家はみなさんお世話になった。そんなエピソードが満載。なかでも、ローマでの勉強ぶりが軽快な筆致で表現されていて楽しい本である。
いたるところ、川原さんの謙虚で、やさしい人柄が滲み出てきます。6月22日の回顧展開会式に、川原邦枝夫人にもご出席いただき、ふくみつ光房さんでこの遺稿集をご覧いただきました。
ふくみつ光房さんの阿部さんが、川原さんから送られてきたFAXの手書き原稿をパソコンに入力されていました。生前、このテーマで 出版するのが故人の願いでした。
開会式のあと、圓鍔勝三先生の兄弟弟子だった、彫刻家の重岡建治さんの作品解説をいただきました。川原さんには福光美術館の運営委員会委員長として、これからもご指導をという矢先でした。7月28日(日)まで開催、期間中は無休です。