館長の部屋

≪ことば≫の人 棟方志功

富山県立 高志の国文学館で、「世界のムナカタ」を育んだ文学と民藝展が開催中です。2月17日(月)まで。

棟方志功の名前だけ知っている人から、研究者や専門家まで、いま注目されています。

富山に戦中戦後、7年近く疎開生活を送っていた棟方一家に、何があったのか。こんな仕事をしていたのか。

なかでも山本コレクションのみごとさは、圧倒的です。

ロビーでは、福光の風土に暮らした棟方一家の絵本「ちよゑちゃんとパパとだまし川」の原画も展示されています。

また、立山の文学「善知鳥」が棟方志功の人生の転換点であったことも特別に紹介されています。

南砺市立福光美術館の共催で、作品の貸し出しだけでなく、企画や図録、作品解説と講演など、全面的に協力しています。

2012年に福光美術館企画展「ことばの作家棟方志功展」をもとに、大幅にバージョンアップされました。やっぱり県立はすごい。

 

静かに染み透るような、論文が話題に。それは図録に掲載された、渡邉一美さん(福光美術館学芸員)の「≪ことば≫の人 棟方志功」です。

幼少のときから眼が悪いことを逆手にとって、なぜ世界のムナカタになりえたのか。

「棟方志功は≪ことば≫という有音の世界と、≪造形≫という無音の世界との境を意識することなく、おのれの魂を自由自在に両方の芸術世界に遊ばせることのできた天才であった。」

ぜひ、生誕110年を迎えた棟方の秘密に触れる、新しい説にも触れてほしい。

なお、私のほうも、これまでタブーだった「ドイツ表現派と棟方」にも言及した小論を掲載いただいた。

1月12日(日)午後2時から、文学館で企画展講演をします。

 

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